私はラーメン屋や牛丼屋によく行く。
店員は愛想の良い人もいれば、そうでない人もいる。
別に店員の態度は味には関係ないので、あまり気にならない。

ただ、カウンターで1人で注文を待っていると、店員の会話は気になるものだ。


先輩らしき人が新人バイトに指導をしている。

「麺を茹でてる間に、皿を洗って、時間を無駄にしないで!分かるよね?」

ラーメン屋だからだろうか。
ノリが体育会系だ。
残念ながら新人バイト君は体育会系ではないようだ。

「あ、はい。すいません。」
ちょっと辛そうだ。

先輩は新人の態度を少し気にいらない様子だ。

「はい!声は大きく、そんなんだと社会で通用しないから!どこでも同じだから!」

新人は辛そうに、震えながら、「はいっ!」と声を上げた。

店内には私しかいないので、恐らく忙しくはないタイミング。
味には影響しないだろうが、新人の辛そうな姿を見ていると、若干こっちも辛い。

「お、お待たせしました。」
新人がおずおずとラーメンを目の前に出してくる。

先輩が新人をジロリと睨む。
その視線に気付いたのか、新人は慌てて声をあげる。
「す、すいません!お待たせしました!」

私は軽く会釈をした、ラーメンを啜る。
味は確かにいつもと変わらない。
ただ、少し居づらさを感じざるを得なかった。


先輩が言っていることも分からなくはない。
新人もいずれ先輩になるし、1人でシフトを回す時がくるだろう。
そのため指導にも熱が入ってしまうのだろう。

ただ新人も素直に従っているように見えて、なんかダルそうな顔をしていた。
新人も「嫌になったら辞めればいいや」と思っているに違いない。

だからか、なんか辛い。

一生懸命に指導している先輩。
素直に従いつつも、内心「うるさいな」と思っている後輩。

空回りしている先輩を見ているのも辛いし、言われてる後輩を見るのも辛い。

私はどうだろうか。
職場で後輩に指導する時、から回っていないだろうか。

人の振り見て我が振り直せ。

私も気をつけなければ。